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徳島県 上勝町 with  養田純奈   /  amana  associate producer

​クリエイティブ制作の現場で廃棄される “ バラし” の有効活用から始まった EARTH BANK GALLERY。突き詰めて考えると、「サスティナブルな制作体制とは何か?」という問いに行き着きます。今回は、アソシエイトプロデューサーの養田純奈さん(株式会社アマナ)が写真作家としても眼差しを向けた、“ゼロ・ウェスト宣言の町 上勝町” の写真作品を通して、町の取り組みや思いを紹介します。ゴミゼロ宣言の町の風景に、未来の “サスティナブルなクリエイティブ制作現場” のヒントが見えてくるのではないでしょうか。

amana アソシエイトプロデューサー  養田 純奈 x 上勝町
未来のプロデューサーが写しだす[ ゼロ・ウエスト宣言 ]の風景
STORY : 006

穏やかな風が水面をなでているような、やさしい起伏のある紙。この独特な風合いの紙は、“捨てられた牛乳パック” をあつめて手作業で漉いたものだそう。それを写真用紙として活用し、学生時代から作品制作を続けている養田純奈さん。

前回の記事にご登場いただいた日本大学の小野澤さんと同じく、芸術学部写真学科を卒業し、現在はアマナでアソシエイトプロデューサーとして日々、広告制作の現場で活躍されています。

捨てられた牛乳パックを回収し、分離させた素材をミキサーにかけて漉く。そんな工程をへて作り出された写真用紙は、思わず指先でなでてみたくなるような優しい風合いです。捨てられたものに、新たな価値を作り上げている養田さんの作品制作。そこにはどんなきっかけがあったのか、お話をきかせてもらいました。

養田純奈さん(以下敬称略)

「コロナ禍になり、自宅から出るゴミの量が増えたことが気になったことがきっかけです。飲食店を応援する気持ちで、テイクアウト料理を頼むことが増えると、使い捨ての容器など家から出るゴミも増えます。捨てられるゴミを何かに活用できたら、と考えはじめました」

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捨てられるものに、向き合って。新たなアウトプットへ。

▲ 徳島県 上勝町 「ZERO WASTE CENTER」。再利用で集められた建具を使った窓の外観。

養田「この作品に写っている建物は、上勝町のゼロウェストセンターです。建物に使われている窓や建具などは、廃材となったものが再利用されていました。ここには『“HOTEL WHY”』という宿泊施設があり、一日を通してゴミについて考えさせられる取り組みや工夫が数多くあります。」

例えば、このホテルには使い捨てのアメニティがありません。歯ブラシやパジャマなどは基本的に持参すること。そしてチェックインの際には石鹸を一日で使う量を自分で考えて、その分量を計って部屋にもっていきます。他にも、ゴミを分別するゴミステーションや、まだ使えるものを持ち込み、使いたい人が持ち帰れる『くるくるショップ』などがあり、宿泊することで“ゼロ・ウェスト”の体験ができるようになっています。

▲ 複数の布を重ね合わせて作られたカーテン。

▲ デニムの切れ端でできたラグマット。

writhing : KAZUMORI YUKO / 計盛 祐子

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養田さんの作品に映し出されているのは、徳島県上勝町の風景です。

ここは日本ではじめて「ゼロ・ウェスト宣言」をした町。町内からでる焼却ゴミや埋め立てゴミをゼロにしようと、様々な取り組みが続けられています。

養田さんはゴミ問題について調べていくうちに上勝町の取り組みを知り、実際に何度か訪れて感じたことや、伝えたい風景を撮影してきました。

ゴミゼロ宣言の町“徳島県 上勝町”のサスティナブルな風景。

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▲  地元の野菜や上勝ビールを提供するレストラン。店内では、デニムから作られた靴下や、量り売りのおやつが売られています。

養田「一番おどろいたのは、一人の人間が一日で出すゴミの量の多さです。宿泊の翌日には自分が出したゴミを集めて、町のルールと同じ45種類に分類していきます。

分類してもリサイクルされて再活用できるゴミというのは少なくて、ほとんどは“ただのゴミ”になってしまうことを目の当たりにしました」

 

毎日出すゴミだからこそ、自分事として考えるきっかけや、ゴミを減らすための取り組みを“知ってほしい”という思いで、上勝町の風景を撮影し作品にしあげたそうです。

 

ホテルのロビーに飾られている、空きビンを吊り下げたシャンデリアや、

廃材を再利用した建物など、上勝町のシンボリックな風景を撮影した養田さん。

牛乳パックを漉いた写真用紙にプリントした作品は大学の卒業制作として発表されました。

徳島県 上勝町 リンクはこちら ▼

▲ 綺麗なシャンデリアは、空き瓶の再利用。

感性を通じて、“伝えるべき課題” に、スポットライトを。

大学ではフォトジャーナリズムを学んできた養田さん。アート写真ではなく、フォトジャーナリズムを選んだことについて尋ねると、こんな風に答えてくれました。

 

養田「“意味のある写真”を撮影したい、と考えています。例えば過疎化が進む地域の問題や、農家さんが抱える後継者不足の問題など、ゴミ削減問題以外にも、伝えるべき課題はたくさんあるのに、スポットライトが当たりづらいように感じます。それを写真という方法で表現していきたいです。」

 

学んできたフォトジャーナリズムが下地にある、養田さんの写真に対する真摯な思いが伝わってきます。一つ一つの作品は、上勝町で経験した自分自身の体験や感じたことを、一人でも多くの人に知ってほしい、という気持ちで丁寧に表現されています。養田さんの作品を通して、ゼロ・ウェストについての取り組みや、ゴミ削減について関心を持つ人がふえたら___。

 

 

捨てられた牛乳パックから、新しい作品が生まれて、それがメッセージや問いかけにつながる。養田さんは作品を見た人がただ「きれいだな」と感じてもらえたら嬉しい、と言います。心で感じたことが、暮らしの中の小さな意識を変えるきっかけになるのかも知れません。

2017年 日本大学芸術学部写真学科 入学

2018年 大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ参加

2019年 日本大学芸術学部 写真表現研究III 生徒有志写真展

2021年 養田純奈展

2021年 生徒有志卒展 Nonet 

2021年 日本大学芸術学部写真学科卒業

現在、株式会社アマナでアソシエイトプロデューサーとして活躍。

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養田 純奈 / YOUDA AYANA

Information

​二人展 「ふたたびの花」

4月16日〜

​銀座「Gallery Nayuta」

4月16日から銀座『Gallery Nayuta』で始まる二人展「ふたたびの花」に養田純奈さんの作品が展示されます。

養田「今回の展示は半谷学さんと私、養田純奈の二人展となります。

私は牛乳パックを再利用して写真作品にしており、半谷学さんはビニール傘等の廃材を蘇らす作品になっております。リサイクルされた作品の調和を是非感じていただきたいです。私たちの作品が、ゴミを減らす意識をするきっかけになるのも、ただ単に綺麗だなとアートとして楽しんでいただくことも、どちらもまた嬉しいです。多くの方にご高覧いただけましたら幸いです」